神力寺

2017.12.02

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自信の水をためる

 

                                        神力寺 亀山環舜
 稲刈りも終わり、肌寒さを感じ、秋の深まりを感じる今日この頃です。皆さまいかがお過ごしでしょうか。
前号から神力寺便りを出すのが遅くなってしまいました。書こう書こうと思うのですが筆が進まない。書きたいことが思いつかない。そんな期間がありました。そう思ったとき、ふと気がつきました。最近本をあまり読んでいない。表現するためには心の中に何か入れないと出てこないのだと。だからこの一ヶ月本を読み漁りました。
その時出会った一冊に「不登校は1日3分の働きかけで99%解決する」があります。この本はスクールカウンセラー・前瀬戸内短期大学准教授 森田直樹さんが不登校の子どもたちを登校へと導く方法を書かれた話題の本です。
森田さん曰く
 不登校の原因は、心の栄養不足なのです。ただ本人でさえ、心の栄養不足につながっていると気づいていません。登校しなければいけないとおもうのですが、何か体が動かなくなるのです。本人の意志とは関係なく体が動かなくなるのです。
 (中略)
 重要なのは、心にも栄養が必要なことです。私はこの栄養を「自信の水」と呼んでいます。子どもたちの心の中にはコップがあり、このコップの中に自信の水が入っていると考えてください。
 そして子どもたちは、日々この水を使って生活をしていて、勉強に、部活に、先生や友人関係に、この水を使っていると考えましょう。自信の水を使うと同時に、子どもたちは周りの人たちに認められたり、親から愛情を受けたりして、自信の水を補充しているのです。こうして子どもの心の中のコップは、いつも自信の水で満たされている。これが心の発達につながっていくのです。
 ところが、いじめとか何らかの不適応状態になってしまうと、いつもよりたくさんの自信の水を使うことになります。心のコップが大きい子どもだと、まだまだゆとりがありますが、心のコップが小さい子どもだと、補充できる水以上に自信の水を使うことになり、元の状態に戻らなくなってしまいます。
 不適応状態とは、いじめなどの不登校のきっかけなのです。
(要約すると)
 解決方法は子どもの心のコップを自信の水で満たすこと。自信の水とは子どもの持つ良さです。子どもの良さをしっかり見つけ、自信の水をつくるのは親の役割です。そして、見つけた子どもの良さを1日3つ見つけて伝えて気づかせること。シャワーのように褒めてあげて下さい。それが自信の水となり、心のコップに入って行きます。そして自信の水が留まると、子どもは自ら動き出すのです。この自分で動く力を育てることこそが再登校へと繋がるのです。
 このような方法を不登校に悩んでいるお母さんに広く早くお伝えしたいと本を作ったのだそうです。
この本を読みながら人の良いところをみつけて行く姿は仏さまの教えに通じるものがあると思いました。仏さまの教えに
『三草二木の譬え』という教えがあります。草には小さい草や中くらいな草、大きな草があり、木にも低い木や高い木がある。みんなそれぞれ違うけれど違いを超えて森を形作っていく。それと同じように人にも違いがあり、みんな必要な人。みんな違ってみんな良い。違いを認めて尊重しながら生きていくことこそが人の生きる道なのだよと教えてくれています。
自信の水とは敬う心です。みんな自信の水を求めています。だからこそ他人を敬いましょう。そういう生き方をすれば、自分にも自信の水が得られます。

“みんな違ってみんな良い”

南無妙法蓮華経×100
「神力寺便り11月号」