神力寺

熊本・大分地震に想う2016.5.23

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 熊本・大分地震に思う
                                        神力寺 亀山環舜
 先月の熊本・大分地震発生して以来揺れに敏感になっている今日この頃ですが、檀信徒の皆さまにおかれましてはいかがお過ごしでしょうか。
 4月14日午後9時26分、携帯電話の「ウィウィウィ 地震です」のけたたましい警報音のあとに揺れが起こり、M6.5震度7の熊本大分地震が発生しました。大分中部でも震度4を観測しました。私は子どもたちを寝かしつけている最中で何が起こったかわからず、揺れている間、固まったまま動けませんでした。その翌々日の16日も、未明午前1時25分にもM7.0震度7、大分中部でも震度5弱を観測する激しい揺れを経験しました。その時は携帯の地震速報ともに飛び起き、タンスが倒れないようにおさえつけました。それからなかなか寝付けずに朝を迎えました。
 それ以来、客殿が古いことも関係しているのか、大きな地震がきて激しい揺れで家が倒壊するのではないか、南海トラフ地震が起きるのではないかと揺れに敏感になっています。
 今回の熊本・大分地震で死者49人、行方不明1人、多くの家々が倒壊いたしました。被害に遭われた方にはお見舞い申し上げます。早期の終息と復興をお祈り申し上げます。
 そんな最中、書店で「西日本大震災に備えよ」という鎌田浩毅氏という地球科学者が著された本が目に入り購入致しました。
 鎌田氏が言われるには東日本大震災以降、日本列島では千年ぶりの「大地変動の時代」が始まったと言われます。その一端がこの熊本・大分地震であり、これからも地震が続き、近未来の西暦2030年代には、「南海トラフ巨大地震」という未曾有の危機を控えていると警告します。
 私は読み始めて「エー」という衝撃とどうしたら良いのだろうかという不安を感じました。読み進めていくうちに「地震にも恵みがある」と書かれていました。
 たとえば人の生活に欠かせない水脈はM7クラスの大地震が起きるたびに、山地は隆起します。高くなった山では降雨のたびに表面の土砂が流され、その結果長い年月をかけて土砂が盆地に流入し、堆積層を作ってゆく。こうした盆地の下には大きな水瓶ができるので、豊富な水が貯えられ湧きだしている。そこには人が集まり、流入した土砂は風化し肥沃な土壌を作り豊かに農作物を育てる。そうして人が集まり都市が作られていく。
 つまり、大地震のおかげで人が大勢住める、居住や農業に適した平野や盆地ができたのです。
 その豊かな平野や盆地の縁には必ず地震を起こす活断層が存在する。それが千年とか二千年に一回くらいの割合で激しい地震を起こしてきた。しかし、大揺れを何とかしのげば、再び長い「恵み」の時期がやってくる。
 「短い災害と長い恵み」全ての地学現象はそういう側面を持っているというのです。
 今、地球という規模の長い期間で考えれば、短い災害の期間、千年ぶりの「大地変動の時代」に突入しました。備えることは備えて「防災、減災」の意識をもって覚悟を持って生きて生きましょう。自然と共に生きる覚悟が必要なときです。
 だからこそお釈迦さまの○○と共に生きる。その教えが必要な時代です。やるべきことはやって後は

 お釈迦さまに下駄を預けましょう。

                                          南無妙法蓮華経
「神力寺だより平成28年5月号」