神力寺

生きる2015.10.29

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秋が深まりを迎えております。今年は台風の上陸がないせいか、雨が一つも降りません。作物を植えても芽がでないそうです。皆さまにおかれましてはいかがお過ごしでしょうか。

10月12日に別府市本光寺において大分県日蓮宗護法大会と呼ばれる檀信徒の研修会が執り行われました。その際講師と来て頂いたお上人様から小野田寛郎さんの話を聞きました。

 

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小野田寛郎

小野田寛郎氏(最後の帰還兵)

小野田寛郎さんとは最後の帰還兵と呼ばれる方です。大正11年(1922)、和歌山県生まれ。元陸軍少尉。陸軍中野学校を経て昭和19年(1944)、フィリピンのルバング島へ出征。翌昭和20年(1945)の終戦後も作戦解除命令を受けること、30年間ジャングルの中で任務を遂行。次々に戦友を失うが、最後の一人きりで戦い続けた。昭和49年(1974)、日本に帰還。翌昭和50年(1975)にはブラジルへ渡り、ゼロから牧場の開拓を始める。成田空港より広い牧場に約1800頭の肉牛を飼育する。さらに昭和59年(1984)から、日本の子供のために「小野田自然塾」を開始。これまでに、のべ2万人を超える子供たちの教育にあたってきた。昨年平成26年(2014)1月16日、肺炎にて東京都中央区の病院で死去しました。享年91才。

生前中、小野田さんがテレビの取材を受けた際、
「今の日本人に足りないものはなんですか?」
という質問を受けました。その答えが
「今の日本人に足りないものは人間らしさです。」
もっと詳しく言うと「義務・誇り・自信・責任」
もっと簡単に言えば
「今していることに、貴方は命をかけられますか?」その気持ちが足りないと言っていたと紹介されました。

その話を聞いたとき、私は僧侶として命をかけているだろうかと考えさせられました。私を含め今の現代人は目の前にあること、例えば、仕事や家族、趣味でも結構ですが、一生懸命に取り組んでいるのかということです。言うのは簡単です。しかし、本当の意味で全力で取り組んでいるかと聞かれれば、そうではないことに気づかされました。

お釈迦さまは「妙法蓮華経」の中で、

毎(つね)に自らこの念(ねん)をなす。何をもってか衆生をして無上道にいり、速やかに仏身を成就することを得せしめん

(意訳)お釈迦さまは常に生きとし生ける全ての命の魂の成長を願っています。

というお言葉があります。

目の前にあることに一生懸命に取り組むことこそが魂の成長につながるのだと教えられます。それこそが生きる意味、生きがいです。

仏様はあなたに乗り越えられない試練はお与えになりません。

そう思って今日も一日、懸命に生きましょう。

                                         南無妙法蓮華経

「神力寺便り52号 抜粋」